今回ご紹介するのは私の師匠でもあるJames Krenov(ジム クレノフ)が1976年に著述した『A Cabinetmaker’s Notebook』というタイトルの、彼にとって1冊目の本の日本語訳「木の家具 制作おぼえがき」です。
訳者は三ツ橋修平という、大分生まれ、千葉県で育ち現在大分県宇佐市安心院町で工房を開いている私と同じ木工家です。
私と三ツ橋さんとは、1990~’91年にCaliforniaにあるCollege of The RedwoodsにあるFine Woodworking Program で一緒に学んだ仲間でそれ以来の友人です。私の家族は普段彼のことをドクターシューヘイと呼ぶくらい博学多識な人で、今回の訳に関しても6年近く掛て、ジムのバックグラウンドを明確にする事からはじめ、彼の生い立ちや家族関係から解明される物づくりに対する彼の取り組み方を非常に奥深くジムに成り代わって代弁す るような形で丁寧に訳されています。この本は単なる翻訳の域にはとどまらず同じ木工家として何故そんな事をしたのかというその時の精神的な側面をとらえ、ジムが取り組んで来た物づくりを木の選び方から、木目の使い方までをいろいろな方面から注釈を入れながらの訳になっています。これ以外のジムの著述した3冊の書物に 関しても、すべて同じことが言えるのですが、そのどれもが単なる作品集でも技術解説書でもなく、彼の文章によって綴られている事に注目しなければなりません。それ故に、英語で記述された文章は、日本人にとっては理解しにくいものであったかも知れません。また、アメリカには巨匠と呼ばれる木工作家がたくさんいますが、 当然のごとく皆はスタッフを抱えそれらのデザインを量産しビジネスへと繋げていきます。しかし、James Krenov といっても私たち日本人にとって彼の名前と作品が結びつくものがあるでしょうか?ジムの制作というのは、目の前にある木を見て想像し、小さなスケッチを描き数ヶ月かけて一つの作品を仕上げる、これを何十年と繰り返して来た人です。デザインの中にはすべて木目が含まれています。ふたつとして同じ木目の無い生きた素材 『木』を使い、同じものが出来るでしょうか?彼の作品にはデザインという言葉自体あてはまらないでしょう。
この本はジムがキャビネットを作る為に使う木を通して書かれていますが、その精神は木工だけにとどまらず、工芸全般にも充分通用する内容で、崩壊状態にある物質主義に慣れてしまった現代人の心のありかたを、再度問い直す機会を与えてくれるのではないでしょうか。
information
木の家具 制作おぼえがき
ジェームズ⠂クレノフ著/三ツ橋修平訳註
発行所/中井書店
定価(本体1800円+税) 1890円
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= 240~280円が必要です。
原書 1996年
木工教室開催のお知らせです。
2011年4月より森林組合フォレスタ木工房(K Factoryの隣)で木工教室を始めることになりました。
講師は<林靖介/土曜日担当>、<小山亨/金曜日担当>の2人で、それぞれの講師のカリキュラムに沿って基礎から自由制作へと、皆さんの思い描くモノをカタチにしていきます。
 
 
●金曜日(担当/小山) 午前9:30〜12:30 午後1:30〜4:30
●土曜日(担当/林)   午前9:30〜12:30 午後1:30〜4:30
  3ヶ月(4〜6月、7〜9月、10〜12月、1〜3月)内で10回の講座を開設いたします。
 
講座の内容、料金は講師によって違いますので、詳しくはメールか電話、ファクスにてお問い合わせ下さい。
※道具は基本的にはご持参下さい。購入ご希望のかたはお申し出下さい。
 
e-mail / tkcwkym@yahoo.co.jp
tel+fax / 0721-72-1110
K Factory / コヤマ
木の家具 制作おぼえがき